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英語の "a" の発音 【言葉のはなし-1-】 [言葉のはなし]

英語の "a" の発音 【言葉のはなし-1-】
イタリアでの技術協力の使用言語を英語としたので、双方のメンバーは急遽英会話の勉強を始めた。当方は大卒の入社後5~10年のSEに渡航までの2ヶ月間は出勤前1時間の英会話特訓クラスを課す一方、相手方には英語とは無縁だったと言う高卒担当者30名ほどへの英会話教育を依頼した。2ヶ月後の協力が始まって驚いたことに、前に会ったときほとんど英語が話せなかった相手メンバーがその短期間に英会話で上達していたことだ。
彼らは「英語は発音を除けば簡単だ。何故なら、単語の多くは語源がラテン系で意味はかなり推測できるし、文法は大変に簡単だ」と言う。私の生半可にかじった知識でも、独語やラテン系の仏語・スペイン語・ポルトガル語では、名詞には男性・女性の区別があるが英語にはない。伊語も含めラテン系語では、動詞の変化は時制だけでも現在・半過去・遠過去・未来があり、それと命令法・接続法・条件法のそれぞれで6個の人称変化があって、活用だけでも20以上覚えねばならないのに比し、確かに英語の文法は簡単と言える。しかし、彼らは「発音は別だ。ラテン系語や独語では発音はルール通りだが、英語は無茶苦茶だ。」と言う。そう言われれば、例を "a" で考えると "ask", "all", "cat", "many", walk", "want" 等々、それぞれ違う発音の仕方で、なるほど単語ごとに固有の発音を覚える必要があると言えそうだ。しかも、後で知った "My Fair Lady" で、周知のこととなったように London 市内でもその発音が異なり、ましてや話す国でも違う。以下にそのような発音の差異も知らなかった頃のオーストラリア(豪州)英語にまつわる失敗談を紹介しよう。
入社直後、豪州からの訪問者の通訳で製鉄所内を案内した。一人が「ウォット ダイ オブ ユア パイ ダイ?」と訊く。私は意味が取れず何度も訊きなおすがそうしか聞こえない。すると彼は少し考えて「トゥダイ イズ マンダイ」と言う。「エ??今日は月曜日だ!すると "ア" を "エ" に置き換え-----、即座に "23rd of each month" と答えたら彼は「オーカイ(OK)」と答えたものだ。
その翌年の米国留学先で豪州人にまつわるjokeを聞いた。それは「サンフランシスコへ入港した客船を降りる老齢の婦人に、出迎えの人が "where do you go?" と訊ねたら、"I want to go to hospital, to die" と答えたのでびっくりしたが、それは "today" が "to die" と聞こえたので「病院に死ぬために行く」と聞こえたからと言うはなしだった。
それから20年ほど経って君津製鉄所に豪州の人たちを迎えた。その質疑応答の中で「ところで世界的に有名なジャイカイ活動はどう展開しているか?」との質問があり、これも何度も聞き返してもわからず "How to spell" と訊くと "No spelling, just J.K." とJ.K.の字を描いた。「アア、Jishu Kanri 自主管理のことかとわかった.「エ」が「ア」だと頭の中で置き換えていたのだが、まさか "H I J K" を「アイチ・アイ・ジャイ・カイ」と読み、しかも豪州流に読めば「ア」が四つも続くとは! そこまでは頭が回らなかった。
それにも懲りず、また10年近く後のはなしだ。学生をつれて豪州に一ヶ月滞在した。今度こそは「エ」は「ア」なのだと「まじない」のように自分に言い聞かせ肝に銘じて、なんとか終わりの週まで無難に過ごせた。そう思いながら、ガソリンスタンドでレンタカーに給油し終わった途端、従業員が突然 "How to pie ? "「と訊く。一瞬「あれ、菓子屋でもないのに何故パイなのか?」と戸惑っていたら彼はまた "Cash or card?" と問いかけてきた。そこで「まじないが」が戻って、「アア "pay" のことかと "Cash please" と答えたものだ。
これは4年近く前のはなしだが、今度はニュージーランド(NZ)の南島で二番目に大きい定住人口4万人の大学町 Dunedin で、オタゴ湾を見晴らせる家を借り3ヶ月ほど生活した。大学・植物園・裁判所・刑務所・博物館---と何でも歩ける距離にある便利な街なかの散歩とテレビを楽しんだ時のことだ。NZの連続テレビ劇はBBC放送で本場英語も聞けたしNZでは "a" の発音は「ア」「エ」半々で今回はそれでの失敗はなかった。でも、スコットランド人の子孫が多いこの町の発音は一種独特で日本語ではダニーデンと書くし、そう聞こえるが、彼らの発音を注意深く聴くとDunedinのスペルに近い発音にも聞こえる。英語の母音は「ア」とか「エ」とか言えるような単純なものではないのだと改めて思い知らされた。

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