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サルデーニャ(Sardegna)でのバカンス 【イタリア関連のはなし-11-】 [イタリア関連のはなし]

サルデーニャ(Sardegna)でのバカンス 【イタリア関連のはなし-11-】
1974年初夏、3ヶ月のイタリア南部滞在中に4日ほど休日があった。イタリア人のバカンス気分を味わいたいと行きつけの旅行社に出かけた。「国外では余り知られていないがホテルが整っているSardegnaの浜辺はどうか」との答え。いつもの気ぜわしい名所巡りとは違う注文に「浜辺のほかに見るべき何もなくても良いのか」と何度も念を押されたが「それで頼む」と答えた。(別稿イタリア語の発音で書き忘れたがgnaはニャに近い発音をする。)
島南の主要都市Cagliariまで飛行機、後はバスに数時間乗って、島の東海岸に長く続く綺麗な砂浜の側の町に着いた。(多分Foddiniの近辺だったろう)。聞いたとおり、こざっぱりしたホテルの他は土産店、Bar,日常雑貨店などがあるだけで、見るからに嫌でもノンビリとバカンスを過ごすしかない町だ。翌朝、寝坊をして朝食を済ませ、水着姿にガウンですぐ裏に続く砂浜に出た。日本なら海水浴客でごった返すだろう砂浜に、ビーチパラソルが散見され、近くには若年と中年のカップルが腹ばいになっていた。私も真似て寝そべった。しばらくまどろみ、時折り目を開いては紺碧の空と海を見ながら、「これぞバカンス」と満足していたが、2時間もすると退屈になり海でしばらくは泳いだ。また、砂浜で少し横になり昼過ぎにホテルへ戻り、遅い昼食をとってイタリア人なみにsiesta(午睡)をとる。その後で海辺へ出て午前と同じように6時近くまでを過ごした。海浜のカップルたちは、私には勿体ないと思えたが、その間一度も海に入らず甲羅干しを楽しんでいた。
夜8時からのホテルでの夕食で、昼間近くにいた中年夫婦が「良ければ一緒に」というので同席した。一通り通りの会話の後、私が「何日いるのか」と聞くと「4日ほど海浜でのんびり過ごすためにきた。あなたが何回も泳ぐのには驚いた。泳ぐのならここでなくてもプールがあるし、ここではゆっくりバカンスを楽しんだら良いのに」と言う。私とすればもっと泳ぎたいところを我慢していたのに。
2日目まではなんとか同じように過ごせたが、3日目になると寝て食べて甲羅干しをしての生活に飽きてしまい、すでにworkaholic(仕事中毒)も重症になっていることに気づいた。 3日目の夕方には辛抱し切れなくて小さな町の探索に出かけた。町の中心からから少し離れたBarがあったので入った。イタリアのBarは、ご承知の通り、ちょっとしたテーブルもあるが、ワインやビール、エスプレッソなど立ち飲みもできる気軽な場所だ。入ると店の亭主にドイツ語で何やらどなっている子連れの夫婦がいた。店を見渡すと彼らの指さしている先に好物のオレンジと手で回すジューサーがある。早速 ”aranciata, spremuta” (絞ったオレンジジュース)と注文すると、即座に”Certo“ (チェルトCertainly)とグラスに絞ってくれた。ドイツ人の父親はそれを見て驚き怒った顔で、私がどうやら理解できるドイツ語で「さっきからオレンジを指してこれを搾ってくれと何度も頼むのに知らぬ顔をする。それだのにあなたの一言でサッと出て来た。イタリア語らしいが何と言ったか教えてくれ」と言う。私が「aranciata---」と言うとそれを真似て3本指を出してdreiと頼むと、亭主は「やむを得ぬ」といった風情でオレンジ3個を絞って紙コップで渡した。父親は私に「意地の悪い亭主だ」と怒りながら出ていった。それを見届け、亭主は「Tedeschi(ドイツ人たち)は皆キャンピングカーでここに来て1週間以上も滞在し海浜で遊んでいく。それは良いが、その間ホテルもレストランも利用せず食材を買うだけで自炊し、Barでも飲み水を買うくらいでこの町に残すのは ”金” ではなく “ゴミ屑”だけだ。しかもイタリア語も片言くらいしゃべれば気も済むが全く使おうとはせず物を買うのもドイツ語しか使わない。何が欲しいぐらいは分かるが意地をはって分からぬふりをしたのだ」と私にこぼしながら言い訳をした。Sardegnaでイタリア流のバカンスの感じが少しつかめ、片言だがイタリア語が役立って満足した。
文字通りの「郷に入れば郷に従え」(When in Rome do as the Romans. Quando a Roma vai, fa come vedrai)だった。



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