SSブログ

世界あちこちでの英語 【言葉のはなし-3-】 [言葉のはなし]

世界あちこちでの英語 【言葉のはなし-3-】
昔話だが、大学3年時に任意科目の米会話と英会話の授業を選択した。連続した時間帯だったので、前の時間に習ったばかりの表現をすると ”that’s American English” と訂正された。私にはer とかarとか米語の巻き舌風の発音が苦手だったので英会話の方が楽だった。その違いについては1962年に欧州出張で London へ寄ったとき実感した。
小倉の教会に派遣された宣教師と親しくなりその勧めで彼の両親の家で一泊した。彼の父親はインドの鉄道会社を退職した人で年齢は違ったがエンジニア同志ですぐに打ち解けた。一通り挨拶が済んだところで子息のことが話題となった。”your son’s house is located near the ---“ と話しはじめると「”is located”は大邸宅の場合で”is”だけで充分だ」という。同感だったが,「飛行機の座席に”air bag is located under your seat”とあるが?(locateは最近使われていない)」と訊いたら”That’s American”と一蹴された。そして「Yoshiの英語は充分通じるが、明日からの会社訪問では留学で親しんだ米国風よりも英国風の言い回しの方が望ましい。良ければ随時指摘するが?」とのことで、是非にとお願いした。すると、”not street-car but tram”, “not sub-way but tube”, ”not elevatort but lift” 等々と矢継ぎ早に訂正された。あげくに”advertisement” を「アドヴァタイズment」と発音すると「その米語の”タイズ”のズが濁って耳障りだ。英国ではアドヴァティスmentと上品で綺麗に発音する」と言う。そう言われればそのような気もした。その一晩のレッスンのお陰で英国風と米国風の差異が少し学べ、効果の程は別として、それに留意しながら英国鉄鋼会社の幹部食堂での、米国では考えられなかったアルコール付きの、昼食が楽しめた。
イタリアでの仕事でもそれぞれの英語に関連する体験をした。伊語も日本語と同じく母音が多く英語の訛り方も似ているようだ。相手の組織部長が、共通業務用語の英語で「私はMr. Inoueと一緒に仕事をし始めて英語が急に上達したように思う。前にアメリカのコンサルタントと話した時は余り理解できなかったが、この3ヶ月間の一緒の仕事でほとんどが聞き取れるし話すのも楽になった」という。私は「それは疑問と思うよ。私にも米人の話は聞き取りにくいから」と答えた。彼は「明日ジェノア本社で米人と会うのでそれが実証できる」と勇んで出かけた。翌週来社した彼に会うと「やはりいわれたとおり米人の英語は良く聞き取れなかった]としょんぼり返事をした。そこで「日本語と伊語では母音に関して似通っていて英語の訛り方に共通点はあろうが、二人にとっては英語が外国語であったのでわかりやすかったのだろう。」と彼と同時に自分を慰めた。
次ぎに類した実感をしたのは1984年にJICA依頼で派遣されたシンガポールでのことだった。システム監査に関する40分ほどの講演を英語で行った後、10分ほどの質疑応答の時間になった。現地の人から受けた幾つかの質問は英語らしい発音だがどうしても意味が取れない。隣席のシンガポールの役人に助けを求めると、即座にそれを彼の英語で言い直してくれた。シンガポールの人は日常に英語を使うのでそれが訛って独特の現地英語になったらしい。そのような地方化された英語を”pidgin English”と言うそうだ。何のことはないシンガポール英語から英語への通訳が必要だったのだ。
もう一つの世界あちこちの英語体験は、2006年7月に家内と2週間ほどアイスランドのgroup tourへ参加したときだ。英語ガイド付きバスで大きな同島を一周したが、参加者は英語を母国語とする英・米・豪・ニュージーランド人と、それに英語が外国語の我々夫婦とアイスランド人のガイド兼ドライバーで計13名だった。高緯度で日暮れが真夜中近く、長い日中に火山・滝・氷河・海など日本と違い昔ながらの自然のまま残っている風景を楽しんだ後、夕方7時頃から始まる夕食後、夜長の10時過ぎまでガイドも含めたお喋りの時間になる。皆が話題を提供し、それをめぐってそれぞれの訛りの英語でお喋りが始まる。私どもも何とか言葉に苦労しながら仲間入りする。イギリス人のハイソサエティの英語についての講釈など、皆が豊富な話題で毎夕を楽しんだ。各国それぞれ固有の訛りに慣れると、それは日本語の方言みたいなもので、全員参加で会話を楽しめたのは、私どもを除いてはそれぞれが母国語だと思っている世界あちこちの英語語のお陰だと実感した。
nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 1

chiho

数年前通っていた移民対象の英会話クラスで、「アドバタイズメント」を主張するタイ人の英語の先生と、「アドバティスメント」を主張するNZ英語しかしらない生徒達とで、どちらも譲らず騒然となった事がありました。先生のお話でようやく謎が解けました、有難うございます!
by chiho (2012-01-20 08:16) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。