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「メイド イン ジャパン」のイメージ 【この頃思うこと-5-】 [この頃思うこと]

「メイド イン ジャパン」のイメージ  【このごろ思うこと-5-】

  テレビなどの家電では価格競争力で陰りが見えるが、車でのハイブリッド技術や、近く開業する世界一高い東京スカイツリーなど、日本の技術力は依然として素晴らしい。 

  しかし、私が最初に訪米した1958年頃は、日本はまだ発展途上国と見なされていた。 事実、1ドル360円の為替レートでは年収もアメリカの1割に過ぎず、インフラ面でも高速道路網や高層ビルの連立など皆無で、見るもの聞くもの驚くことばかりだった。「メイド イン ジャパン」もいまでこそ高品質で新技術の代名詞となっているが、当時は「悪かろう安かろう」の意味で、現今の100円ショップのような店ではそのほとんどは日本製だった。

  2年間滞在したClevelandは当時から100万都市で、お国自慢も多かった。「New Yorkを除けば東部各州で最も高い」というダウンタウンのCleveland Towerもその一つで、ある日、エレベータで最上階まで昇ってみた。東京でもビルは10階ほどが最高だった頃だから、その50階以上はあったと思われる高所からの展望は素晴らしく驚かされた。

   展望台の隅に土産物の店があり、何か記念になるものをと探すと、安いものはその裏に見事なほどみな「メイド イン ジャパン」と書いてある。なおも探すと、長さ5cmくらいの金メッキ針金のベンチに腰掛けた、可愛い男の子と女の子のエンジェルが軽く口づけをしている陶器をみつけた。 店の人に飾りかと訊くとSalt and pepper を入れて置くものだと教えてくれた。そのような調味料セットは当時の日本にはなく、これはアメリカでしか買えないと大枚5ドルほどをはたいて買って帰り部屋に飾っていた。

  その次の年の夏に、友人の車でナイアガラの滝を見に行った。そこでも沢山の土産品店があり、ナイアガラの滝を描いたナプキンやスプーンなど、これこそナイアガラにしかないとばかり喜んで買って友人の車に戻った。すると、彼が「よく見てご覧」という。確かめるといずれにも「メイド イン ジャパン」とある。確かにアメリカ製にしては安いと思ったが、日本国内では売らない輸出専用品があることはそのときに初めて知った。でも日本では買えないのだからと納得することにしてクリーブランドへ戻った。机の上のkissing angel を見てまさかと思いながらその底を見るとなんとそこにも「メイド イン ジャパン」とあった。それ以来、買い物をする前にどこ製かと品物の底を見ることが癖になった。

  そんなある日、アメリカの友人が日本も自動車が作れるのかと失礼なことをいうので、"Sure, we have already TOYOPET" というと、"Oh, miniature model car, good naming"というので「違う実用の車だ」という。何回か問答しているうちに、彼がとトヨペットの字をToy-O-pet と読み、Toy Pet をご丁寧にも O で結んであるのでてっきり玩具だと思ったという。現在ではハイブリッドなどの技術力を世界に誇るToyotaも当時は残念ながらそれくらいにしか評価されていなかったのだ。

  その後1968年にSalt Lake City 近郊の世界的に有名な銅山を見に行った。その頃には日本経済も急速に発展し始めて、「メイド イン ジャパン」も安物というイメージは少なくなっていた。そこの土産店で日本では見たことのない銅製の精密な可愛いランプの飾りをみつけた。まさかと思ったが底を見るとそれも日本製だった。そのときには、さすがに器用な日本製だと感じながら買ったことを覚えている。

  その少し後、1972年に訪米した頃には日本も先進国の仲間に入りかけ、お土産に持参したソニー製の薄べったいポケットラジオは大好評だった。いまほどではないが「メイド イン ジャパン」は小さいが品質に優れ値段もそれなりのものとの評価が定着し始めているのを感じて嬉しかった。

  最初に訪米してから15年の間に「メイドインジャパン」の世界でのイメージは大きく変わり現在に到っているのは喜ばしい限りだ。これからも、それが「高品質で適切な価格品」の代名詞であり続けることを願っている。


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