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ドレミの由来【大学勤務の頃-4-】 [大学勤務の頃]

ドレミの由来【大学勤務の頃-4-】
  いまから20年ほど前の大学在勤中のこと。半年の研究休暇でアメリカに行く途次に一週間の北イタリア旅行を計画した。 その前の会社勤務で2年ほどイタリア駐在をして家内と私は言葉も若干は話せるようになっていたので、旅の最初であるジェノアと最後のローマ以外でのホテル予約はせずに、気の向くままに行った場所でペンシオーネ(民宿)を探しては泊まる気楽な旅を計画した。事前に幾つかの訪問予定地を考えたがその中にArezzoの町を含めた。それはイタリア語も話し音楽に詳しいスペイン語担当のペール人の同僚教授の助言によるものだった。彼は「9世紀から10世紀にかけて活躍したベネディクト派修道院の僧 Guido da'Arezzoがそれまでなかった音楽の表記法である4本の線上に四角な音符を初めて用いた。それが現在の楽譜の表記法であるドレミファの5線譜の原型となったとする説が有力だ。名前が示すとおり、Guido は Arezzo の出身で、自分は彼が生まれて育ったと称する家を見てきた。その家の入り口の上に、4線の楽譜とドレミファソラシ の額が掲げてあり、それだけが見るべきものと言った所だが、通り道なので是非寄ったら良い」と言う。 Arezzoのことも含め、そのほか訪問を予定したオルヴィエートや他の都市のことなどを調べようと思った。当時、そのような調べ物は一仕事であった。大学の図書館を利用し、そこでまず関連の書物を図書カードで当たり、それらの書物を取り出して調べるのに一日は優に要したと記憶する。
  旅では最初にジェノアを見物し、200kmほど南東のフィレンツェにも2泊してイタリア美術を堪能した後、列車でそこから60kmほどの Arezzo と言う駅で列車を降りた。イタリアの街は何処も似たような風景だが、そこも煉瓦作りの建物が並んだ街だった。Guido da'Arezzoの肝心の家は何処にあるかを訊いてどうやら辿り着けた。記憶では緩やかな坂道を登り始める左側の、それと言われなければ見過ごすような煉瓦壁一郭に門らしき構えがあり、その上に額が掲げられ、ラテン語で「ここでda'Arezzoが生まれ育った」とあった。その下に、4本の横線と Ut re mi fa sol la の字と四角い符号が少しずつ高くなるような位置に記されているのが見えるだけで、門の中には入れなかった。確かに同僚の言うとおりで、ドレミの由来に付いて学びそのゆかりの場所を訪ねることはできた。しかし、Arezzoの市は観光にそれほど力を入れていた風でもなく、関連の見学は2時間もかからずに済んで、折角来たのだからと街で昼食を楽しんだ。ちょうど夏の真っ盛りのフェスタ(お祭り)だったらしく、賑わっていた公園の一隅で、ラグビーボールの形をした大きなスイカの切り売りが冷たく美味しかった。ドレミの由来と言われるものを見た満足感と共に次の場所のオルヴィエートへと列車で発ってその短い訪問は終わった。
  これらを書くに当たり、昔のことなので幾つかのことを確かめたいと思った。いまは驚くほど便利な世の中となったものだ。当時だと大学の図書館に行き、まず関連図書名を調べ、それらの本のなかから関連記事を見つけるなど一日掛かって調べたであろうことも、いまは机上のパソコンのキーを叩くと瞬時にその場で関連事項が画面に出てくる。
  そのようにして「ドレミの由来」をWikipediaで調べると、幾つかの記事が出てくる。それらをまとめると概要次のようになる。「七節からなる聖ヨハネ賛歌のラテン語歌詞の①Ut ueant laxis  ②Resonare fibris  ③Mira gestorum  ④Famuli tuorum  ⑤Solve polluti  ⑥Labii reatum ⑦ Sancte Johannesno  の各節の頭の一つの音が、この賛歌を歌うときには1音ずつ順に音程が上がっている。これは「ドはドーナッツのド、レはレモンのレ---」のようにドレミとその音階が一致していることと同じだろう。なお、①Utは発音しにくいのでDominius (神)のdoになった」と言うことのようだ。
  調べたついでに Google map でイタリアの地図やArezzoの市街図、それに市内要所の写真なども楽しめた。しかし、それらを調べる気になったのも、さらに言えば、ドレミの由来やその市名を知ったのも、短時間ながらそのとき同地を訪問できたからだろう。でも、調べ方が良くないのか、ネット上の市の広報でも家の場所や写真は見つけられなかったのは残念だ。
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