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1999年度生を送り出すにあたって 【大学勤務の頃-5-】 [大学勤務の頃]

  14回作成したゼミ論集ではその冒頭に「はなむけの言葉」を贈った。ここにはその最終ゼミの分を転載する。なお、当ブログの2011/10/22「心をとらえる二つの文章」でも英文訳も含め触れている。

1999年度生を送り出すにあたって 【大学勤務の頃-5-】         2002年3月
                                                              ゼミ担当教員 井上 義祐

 諸君がこのゼミに参加希望した時に、「私は諸君と同じ時期に桃山学院大学を定年で去るので、私にとって諸君が最後のゼミ生になる」といった。しかし、予期しないことで諸君より一年早く去ってしまった。替わった先の大学が近くだったこともあり、その後の1年間も諸君のゼミを続けることができた。そして、学生論集の締切である12月2日に8人が提出でき、3人も年内に書き上げて、一人も欠けることもなくこの卒業論文集が出せることは大変に喜ばしい。一方、今年度は、学生論集の入賞者が昨年度までの複数には及ばず1名となり残念だったが、後期にはゼミのある金曜日に4時間ほどしか論文指導ができなかったこともあって諸君に申し訳なく思っている。
 論文らしい書式で調査し論述するということで、10回前後書き直させるなど大変厳しい指導であったと思うが、その間の諸君のいろいろな意味での成長は大きなものがあったと思うし、また、諸君自身もそう感じているだろう。一昨年秋の本ゼミ卒業生との合同コンパの折、「お話しによると仕事とは苦しいばかりのようですね」との諸君の質問に、卒業後10年ほどの先輩が「仕事をしている間は楽しいことより苦しいことが多い。でも苦しいほど、終わったときの満足感は大きい」と答えていた。諸君がこれから出ていく実社会では、問題を見つけ設定し、正解がないなかで、いかによりよい解決策を見出すかという厳しい現実に直面するだろう。今回の経験でその真似ごとを実感できたのではないかと思う。
 また、できるだけ楽しい学生生活の思い出も共有したいと、3回生の夏には4回生と白浜で合宿したし、4回生の昨年夏には、欠席者もあったが往復ともフェリーで高知へ行き、四万十川までドライブしたりしたことは、良い思い出となった。そのようなこともあり4回生の終わり頃にはゼミとしてのまとまりが大変良くなったと感じる。卒業後、離ればなれになってもこの友情を続けて欲しい。
 私にとっての最後となるゼミ生を送るに当たって、はなむけの言葉を二つ贈りたい。一つは、諸君がゼミに入った折、最初の課題とした下記の英文である。意味はゼミで十分に話したはずだ。この気持ちで自分の将来を切り開いて欲しい。
    The future is not some place we are going to, but one we are creating. 
    The paths to it are not found but made, and the activity of making them
    changes both the maker and the destination.      (John Schar)
 もう一つは、本学の建学の精神である「キリスト教精神」に基づくものでチャペルで一緒に祈ったことのある言葉である。
   「神よ、変えることのできるものについては、それを変えるだけの勇気が与えられますように、変えることのできないものについては、それを受け入れるだけの冷静さが与えられますように。 そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを識別する知恵が与えられますように。」 (R.ニーバー「現代の祈り」)
      "O God, give us serenity to accept what cannot be changed, courage to change       what should be changed, and wisdom to distinguish the one from the other." 

  人生では自分の思うままになることなどほとんどない。                                                                           以 上


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