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言葉づかいと相づち【言葉のはなし-9-】 [言葉のはなし]

言葉づかいと相づち【言葉のはなし-9-】
 最近ではNHKの番組でも「メッチャ ウマイ」と言う類の言葉づかいや「ウン」の相づちが頻繁に聞かれるようになった。言葉は時代と共に変わるがこれらには余り馴染めない。年代に応じた次のような「言葉づかい」の思い出があるからだろう。
 幼児から小学3年まで過ごした佐世保では、先生や親など年長者への「コラシタ(来られた)、イワシタ(言われた)」の丁寧な言い方と、友人間の「キタ(来た)、ユータ(言った)」とを無意識に使ったが、そのあと中学一年まで使った関西弁ではそれが「イカハッタ」「キハッタ」に変わっただけだ。終戦で、また佐世保に戻ったが、家での言葉づかいは方言なりの丁寧調で両親との間ではずっとそれで通し終わった。しかしその頃私の部屋に下宿していた同級生宅を離島に訪ねたとき、彼が両手をつき「父上ただいま戻りました」と挨拶しその口調で話し続けたのには驚いた。島一軒だけの士族だったそうだが。
 何とか就職でき半年間の研修後に、20人ほどの多くが年長者の現場責任を託されたときは、皆で気持ちよく仕事を進めるように言葉づかいにはとくに配慮した記憶がある。 
 その三年後、米国の研究室で机を隣り合わせたトルコから留学の助教授は「両言語ともウラルアルタイ語系で、語順・助詞・母音子音の関係・敬語的表現など類似している」と言う彼は、NY事務所への電話連絡の「ハイ」「エエ」などの私の相づちだけで電話相手の地位を言い当てた。それから3年後の加大バークレー校での著名な心理学者 Searl教授の「意思疎通」の講義で「最初にどう相手を認識するかが何より重要だ。初対面の場合は、外見や会う場所などが話の糸口となる。外見で区別が困難な、例えば徴兵検査場での裸同士と言った極端な場合でも、相手の体格や言葉づかいから職業や教養程度を推定でき、反応を見ながら糸口を見つける。ところで日本語には敬語があり相手の年齢や身分で言葉づかいが違うと文献で見たが、初対面での敬語の使い方を日本人に確認する絶好の機会だ」と私に質問を始めた。私の「年長者には敬語で、年齢不詳なら相応の敬語で年齢推定可能な話題などで少しずつ敬語の程度を変えていく」の答えに「年長者で地位が下なら?」など質問が続き、入社すぐの経験を思い出しながら答えた。「英語とは敬語の有無で配慮の仕方が相当違うようだが、意思疎通の留意点は両国語ともまったく同じだと自信が持てた」と言うのが教授の結論だった。
 英語でも相づちには "Is that so?"とか気を使った。ただ、日本では諾否を求められて否定で始めるのが失礼と「ソウデスネ、デモ---」と始めるが、欧米では必ず "Yes" か "No" で始める。イタリアでの仕事で Mr. "Yes, but No" とあだ名された同僚は、"No"で答えられるのには数日を要した。 "you" は伊語でも "Lei" と "tu" があり親しみ程度で使い分けるが、動詞活用変化で人称が一つ増えて煩わしく思えるのは独・仏語も同じだ。
 相づちは「ハイ」「エエ」が普通で「ウン」は家族か親しい友人に限っていたのだが、若いセールスマンが顧客で年長の私に何度も「ウン、それは----」と言うのを初めて聞いて驚いたが、それはプリウス購入の1997年と記憶する。その後テレビでも「ウン」次第に増え、いまでは「ハイ」「エエ」は敬語の場合になっているように思える。
 このような思い出からか、旧いと言われても言葉使いと相づちにはこだわりたくなる。
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