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南イタリアの人たち 【イタリア関連のはなし-12-】 [イタリア関連のはなし]

南イタリアの人たち 【イタリア関連のはなし-12-】
我々家族一同で習ったイタリア語の先生夫妻は、姉さん女房で子供がいない大変に気さくで明るい南部イタリア人の典型ともいえる人たちだった。3ヶ月のレッスンが済みかけて皆が何とかイタリア語で最小限の意思疎通ができるようになった頃に、「子ども達も一緒に家まで遊びにいらっしゃい」と家に招かれることになった。 先生の家は、そう遠くない、その近辺にありふれた10階建てくらいのアパートの6階にあった。お昼ご飯に、"pranzo(正餐)"というイタリア料理のフルコースでもてなすという。まず、食事が始まる前に、建物から出っ張って屋外になったバルコニーで、"antipasto(オードブル)"を食べながら、"apertivo(食前酒)"を飲むという趣向だった。シニヨーラ(夫人)が食べ物を運ぼうとしてバルコニーへ出た途端、「まあ、何てことを!」と叫んだ。何が起こったのかと行ってみると、「今さっきここを掃除して綺麗にしたばかりなのにもう塵だらけになっている。これだからイタリア人は駄目なのよ。きっと、たったいま上の方の階の誰かが塵をはき落としたに違いない。まったく!。自分さえ良ければよその迷惑なんか考えないのだから。」とプンプン怒っている。無理もないと思うくらい塵だらけだ。「d'accordo(その通り)」と言おうとして息をのんだ。なんと!。シニヨーラはやおら箒を持ち出してきて、その塵をサッサと下の階の方に掃き落としているではないか。家内と私は、びっくり仰天した。というのも、たったいま「イタリア人は他人の迷惑など考えないから本当に困ったものだ」と言った帳本人が舌の根も乾かぬうちに同じ事を当たり前の顔で平気でしているのだから!。気が付いたら家内も同感だったらしく家内と二人で顔を見合わせて笑いを殺すのに苦しんだ。そして思った、「本当にこのシニヨーラこそ悪気のない生粋の南イタリア人だ!」と。
また、これは南部だけかも知れないが、イタリアの会社の同僚から大晦日の真夜中は外を歩いたらいけないと忠告を受けた。「どうしてだ」と訊くと「年が明けると同時にアパートの階上の方から何が投げ落とされるかわからないから」という。元旦には昔風にチリ一つないように清掃することが習慣づけられた我々には思いも寄らないことだったが、なるほど彼の言うように元旦の道路は上から投げられたとおぼしきものがたくさん落ちていたのにも驚いた。
もう一つ奇妙に思えたのは、Taranto近郊のちょっとした集落の多くは岡の上に立ち並んだ石造りの家から形成されているのだが、日暮れ前の小一時間ほどは集落の中に必ずある小公園のあちこちに男ばかり数十人、数百人と群がって両手でのジェスチュアたっぷり立ち話をしている光景が展開されることだった。これは一緒に滞在した同僚の多くもあちこちで見たらしく、女性の影すら見えない風景は、我々には異様な南イタリアの一つとして思い出される光景の一つである。

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