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身体の部分の記憶【この頃思うこと-24-】 [この頃思うこと]

身体の部分の記憶 【この頃思うこと-24-】
 人の身体には脳以外にも記憶機能があると言うが、自分の身体のことで考えると幾つかそれに思い当たる。
 その一つは皮膚細胞レベルの記憶だ。高校の2年で鉄棒を始めたが、大車輪では一瞬ながら掌(てのひら)に全体重と遠心力がかかる。それに耐えるのに、当時は握力が45kg強ずつあったように思うが、掌全体の皮膚が厚くなりとくに五本の指の付け根部分にはいわゆるタコができる。皮膚の保護のため、終戦直後の物資不足時代で苦心して入手した鹿のなめし革に自分で紐を縫い付け指と手首に結んで練習した。それでも指の付け根のタコが厚くなり、週に数回は良く磨いだ小刀でタコの表面を薄く削ぐ必要があった。タコが剥(む)けると、皮膚ができるまでに消毒し薬を塗って一週間ほど要していたが、先輩の助言通り痛いのを我慢して砂で傷をこすり家で風呂の熱湯と冷水を交互に掛け刺激すると三日ほどで済み練習できるようになった。鉄棒を止めてからも皮膚組織の記憶だろうか頻度は減ったが五年以上はその部分のタコを削ぐのが続いた。その後は、鉄棒にぶら下がったりバットを握ったりして少し掌への刺激が続くと指の付け根が思い出すらしくタコができ削ぐ羽目になった。その話題で、大学・社会人とピッチャーで大活躍した友人が「指の付け根でなく指先にタコができその手入れが肝心だった」と言うのを聞き、それぞれのスポーツで人知れぬ苦労があることを知った。60年以上経ったいまでも、その部分の皮膚に記憶が残っているらしく、掌が普通の人より少し厚く、また刺激を続けるとすぐに指の付け根の部分が厚くなり驚く。
 もう一つは筋肉細胞レベルの記憶である。筋肉の分類には種々あるが、持久力が特長の遅筋と瞬発力の速筋の分類が分かり易い。遅筋は日常生活に必要な筋肉で加齢と共に運動量が減るので散歩などで補う必要がある。力仕事をしなくなると速筋は急速に衰えるがさして不自由はない。しかし、昨夏の入浴時の鏡で、胸にはあばら骨が腹には皺が寄っているのに気付いた。青年時代の胸囲1m強、腹囲70cm弱がなんとそれぞれ83cmと86cmほどとなっていて、それが何となく緊張感に欠ける感じがしていたのに関連するように思えた。「若い時に鍛えた筋肉はある程度は戻る」と以前に読んだのを思い出し、自分で、椅子・ぶら下がり器・ダンベル・床マットなどを使う独自の体操を考え少しずつ実行した。若い時にはやり過ぎても少し筋肉が少し痛いだけですぐ戻ったがいまは痛さがとれるのに数日を要する。根気強く少しずつ運動量を増やして実行し続けるのが重要だ。昨年末からはヨガを習い初め、身体中のとくに腰回りの関節をゆっくり極限まで廻すことで、脊柱管狭窄症の手術以来四年間止めていた柔軟体操も始めた。それらは昔器械体操で使った筋肉や関節で、やり過ぎて痛い目にもあったが一か月くらいから目に見えて少しずつ復活し、今では昔ほどではないが胸囲が93cm、腹囲が82cmと胸筋の速筋部分が付き上半身に忘れていた緊張感が戻ったせいか元気になったように感じるから不思議だ。これも胸回りの速筋がかっての記憶を取り戻したからだと思う。その証拠に、10年ほど前にそれまでは存在感すら意識できなかった内股の筋肉をスキーの初心者コースで三時間ほど使っただけで、その後半年ほど痛みが取れなかったのみでなくその後もそこには筋肉が付かなかったことと比較するとその差は歴然だ。
 速筋は日常生活には必要なく使わねばすぐ衰えるが、気持ちを若く保つには効果的なので、無理のない程度で遅筋の衰えを防げ散歩と共に続けて行きたいと思っている。
       blog  http://inoueyoshisuke.blog.so-net.ne.jp/     2013/7/19  
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