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サイバネティクスと人の身体 【この頃思うこと-30-】 [この頃思うこと]

サイバネティクスと人の身体 【この頃思うこと-30-】
 「サイバネティクス」(ギリシャ語で"船の操舵者”の意)は20世紀半ばに天才ウィナー博士が提唱した「生命体と機械に共通な自動化の理論」と要約できるが、その応用である自動化システム(オートメーション)が急速に普及し常識化した陰でいまでは余り知られていない。それを身近な応用例の空調機で説明すると「室内を設定温度に保つため、刻々に室温を測り調節計へフィードバックして、その設定温度と室温の差がプラスなら冷風をマイナスなら温風を、差がゼロ(室温=設定温度)になるまで送風し続け室温を自動制御する」となろう。これを下図に示すが、その矢印でFeed(供給する)back(後ろ向きに)の意もより明瞭に理解できよう。
 この工学的観点で人の身体を見ると、自意識により動きをほぼ制御できる運動系、自意識と無関係に生存本能で身体の状態を健常に保つ制御(生物で言うホメオスタシス)をする自律神経系、それらの判断と理性や心情の活動も司る脳内の働きの脳関連系に分けて考えられよう。
 運動系では、日常使い慣れた手足主体の動きを「そう思うだけ」で無造作に動くかに感じるが、制御論的には「総数200本弱の骨とその骨どうしを自由に連接する関節、それを介して各骨の両端につながる多数の筋肉に指令を出し、その緊張度を知覚神経で脳へフィードバックし、望む姿勢との差異で瞬時に関連筋肉の緊張強弱を制御する」と言える。非日常的な動き(スケート・鉄棒・野球など)の場合、超一流の選手が「身体が自然に動く」と言うのは、並ならぬ反復練習の結果で修得する筋肉・姿勢の感覚とその情報のフィードバックとが可能となり「望ましい姿勢」との差異を瞬時に認識し姿勢制御できるからだろう。
 自律神経系では、肺や心臓など諸臓器で無意識に(睡眠時も)臓器機能の現状況が常時フィードバックされ、生存本能で正常な状態保持の制御が行われる(生物体のこの制御をホメオスタシスと言う)。その制御サイクルはより長期間にわたり、血圧・血糖値など正常範囲を逸脱する場合は薬の服用での制御が試みられるが、運動量や心理的なことなど関連しあってその因果関係はより複雑であり単純に薬での制御成果を得るのは難しい。
 脳関連系は上記二系統の判断指令役に加え理性と心の分野でもある。制御対象は頭脳の中で無形の時間・空間不問の融通無碍であり、心では死者も生きている。そこでのフィードバックは反省もその一つだろうが複雑だ。この系は高・難解でこの程度の記述で精一杯だ。
 私はこの工学的な見方を、自己のQuality of Lifeの向上のため、各系別の自己の現状認識 (フィードバック) に基づき何が効果的かを納得し動機付けるのには次のように役立てている。
 運動系では、1年半ほどの運動ヨガで日常生活では動かさない身体の部分や関節を意識的に動かし、以前に器械体操で養った筋肉や柔軟度を設定値の参考に毎日少しずつの継続でその何分の一かの復活を実感している。自律神経系では「良い生活習慣」を設定値に、生活の現状を認識フィードバックし、長期的に食事・運動・薬などで差異を狭める意識で努めるが実行は容易ではない。脳関連系では、読書・作文・テレビ・宗教心などの各領域で脳の働きの退化を防ぐように心掛ける程度しか思い浮かばない。これらは、自分の身体を意識する年齢になって初めて思い立った。もっと早く気付けば良かったと思うが、もはやそのフィードバックは自分には時間的に間に合わない。この愚論が自分以外の若い人へのフィードバックの参考の一つにでもなれば幸いだ。

空調器説明.png
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