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物理学概観の学習 【この頃思うこと-31-】 [この頃思うこと]

物理学概観の学習 【この頃思うこと-31-】
 
   拙ブログ「科学者の信仰」(2014/5/12)で、ウィナーの著書の二つの言葉を思い出しSTAP問題への愚見を述べた。それを見た入社同期の旧友から大栗博史著「重力とは何か」(新刊書880円+税)の読書を勧められた。早速入手し読むと近年巷間で話題となった難解な語句・事象が図示も含め分かり易く解説され、個々には2日ほどで一応理解できたと思えたが、それら一連の関連を納得するのにはさらに2回ほどの簡単な速読を必要とした。友人の推薦だけに著者の論旨はウィナーの主張をも彷彿とさせた。
  その論旨は《物理学では自然界現象の法則の解明が数式で表現され、実験での検証が必要だ。当初は万能と思われた法則が、やがてその適用範囲限界での矛盾が見出され、新たな学者たちがその矛盾解決を既存の理論も包含し(保守的)、かつ天才的な奇想天外の発想で新理論(急進的)が現れる。その検証過程での異論は多いが、何年もの実験での実証により決着する。その意味で物理学者は急進的な保守主義者である》と私なりに要約できそうだ。
  微分学で、《曲線はすべて細分化すれば直線と扱える》と知ったの同じく、《物理学では極小から極大までの自然界を表す法則を一つの理論で説明するのは容易でない。それはマクロ・ミクロの世界とも10億m(メートルの略号)単位ごとに新理論が発展してきた》との同書11頁の図示と説明で全体像を初めて知りえた。すなわち、《人間の身の丈が1mとすると、天界と地上の運動法則を統一したニュートンの「重力理論」もその矛盾なき適用範囲は月の軌道も入る10億mまでである。それを超す10億X10億m(銀河の大きさ)では、その理論をも包摂し(保守的)拡大範囲での事象をも説明できる常識を超えた(革新的)アインシュタインの数式理論が確立実証された。それしも、より大の10億X10億X10億m(光で見える宇宙の果てや見えないブラックホール)では矛盾を生じ、さらなる新理論研究が進められている。他方、極小方向では10億分の1mまでの範囲がナノ・サイエンスで、マクスウェル理論はその範囲の〈電気と磁気〉を統一しその力の働きを解き明かした。さらに、アインシュタインはニュートン力学とそのマクスウェルの電磁気学の矛盾を特殊相対論でさらに乗り越えた。マクロの相対論に並ぶミクロの重要な理論が統計概念を含む「量子力学」である。ナノ・サイエンスでは「素粒子」物理学の「標準模型」を作り、物質とそこに働く力の作用を実証し説明できた。しかしそれは10億X10億分の1mより極小の世界では通用しない。著者は「それはマクロとミクロを統合する新理論で、日常経験する「空間3次元+時間」の4次元を超える6次元の《超弦理論》も含まれる「重力」の研究でさらに進歩すると信じている》と述べているように思える。
  ウィナーの《科学は自然法則の信仰(ドグマ的な宗教でない)なしには不可能で神は巧み深いが悪意は持たない》は著者の言と重なる。彼のもう一つの言《自然界の法則は難解だがその都度あらゆる策略偽りを弄し相手を敵とする(人間同士)のポーカー的悪魔ではない》は、物理学でもあるとは言うが、人間相手のSTAPなど生科学ほどではなさそうだ。それは政治の世界では多く、ボコ・ハラムの誘拐など宗教原理主義者の言動はその極端な例と言えよう。
         blog http://inoueyoshisuke.blog.so-net.ne.jp/ (2014/6/21)


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